ANATOMICAではこの時期になると必ず展開されている”BEACH CLOTH”を使用したアイテム。
ここ札幌でもこれから訪れる冬に適した素材ですので、今一度“BEACH”CLOTH”とは?といった背景からご紹介したいと思います。
1910年代に米”BROWNS BEACH社”という生地メーカーが東海岸の寒冷地で働く労働者の為に開発した、”BEACH CLOTH”。
ウール×コットンから成されるラッセル編みというニット素材は、表面には通称ゴマシオと呼ばれる異なる撚りで構成された2PLY仕様の特徴的な編み地と、起毛(フリース)した裏地で構成された特殊なダブルフェイス素材であり伸縮性と高い保温性を兼ね備えます。
Mr. Bennett, Vermont
1944 Paul Strand
本来ワークウェアとして開発されたこの生地は、使い勝手の良さからハンティング.フィッシングや車に乗る時など様々なフィールドスポーツで重宝され、カタログビジネスとともに全米で愛用されるようになりました。当時はその評判の良さからギフトにされる方も多かったそうです。
ですが、1960年代に入りスポーツウェアは画期的な化学繊維で作られる事が多くなり、天然素材で作っていたこのBEACH CLOTHも淘汰され姿を消してしまいました…
時代は過ぎ2009年……オルテガ、ロッキーマウンテン、ノースフェイスなどのアメリカ製品を1960年代に自身のお店でセレクトし販売していた現ANATOMICA PARISのピエールフルニエと、十代より単独でアメリカに渡りワークェアやミリタリーを研究して来たANATOMICA TOKYO代表 寺本欣児がタッグを組みこのBEACH CLOTHを復活させました。
通称、”ゴマシオ”と呼ばれる独特の生地を作る事が出来るニットマシンを探すことから始まり、その生地にかかったコストはHARRIS TWEED以上だったそうです。
それもそのはず、1940年代当時、LEVISの2ndジャケットが2ドルで買 えた時代にBROWNS BEACHのジャケットは30ドル近くしたという事実からも、当時より高級品であったという事がうかがえます。
そうして出来上がった生地にANATOMICAの妥協を許さないモディファイドが加わり、今の製品が有るという事を知ると何とも感慨深い物が有るのではないでしょうか。
次回のブログでは、BEACH CLOTHアイテムを使用した私たちスタッフの着回しなどを2回に渡りご紹介したいと思いますのでぜひ、そちらも楽しみにしていてください!
ANATOMICA SAPPORO 岩谷