本日は昨日と視点を変え、WAKOUWAのディテールについて詳しくご紹介したいと思います。
まず、WAKOUWAを製作する上で最も時間を費やしたのがこのラスト(木型)作成です。
昨日のブログでも触れていたのでご存知の方も多いと思いますが、オーソペディックシューズ特有のストレートインサイド・アウトカーブの形状をスニーカーながら採用するという試みです。
写真 : サンプルの一部
ですがその木型作りはそう簡単に完成する事はありませんでした…
物作りに一切の妥協を許さないピエール氏ならではの拘りは、結果的にサンプルを12回作り直し、製作に取りかかってから販売まで約30ヶ月の時間を費やす事になるのです。
そうして出来たこの特別な木型は、土踏まずの部分が極端にくびれた形状を持ち、つま先部分は捨て寸を取りゆったりと、それ以外の部分はまるで自分の足に合わせて作ったかのようなフィット感から快適な履き心地を生み出します。
そして、その工場は木型からパターン等、製造に至るまでの全てを一貫して行えるシステムが整備されていた為、ラストの修正はもちろんのこと、足回りのゴムテープの巻き幅、アイレットの間隔等、細部にまで拘ったコンマ何mmの修正にも対応できたそうです。
もしこれがアメリカやフランスの生産だったとしたら、彼らの国民性も考えるときっと実現不可能なスニーカーだったでしょう…
全てのスニーカーの起源とされるヴァルカナイズド製法によって製作されたこのスニーカーは、今や世界的に希少な製法とされおり、ヴィンテージスニーカーに見られる味や温もりはこの製法だからこそ実現できる風合いです。
現代の大量生産体制に合わないこの製法は時代に淘汰され、変わって約3倍の生産能力を誇るインジェクションモールドと呼ばれる製法が主流になってしまっています。
アッパーに使用される10.1オンスのミルスペックキャンバス素材は、1940年代L.L.Beanのトートバッグに使用されていたアメリカのダンダックス社製のものを使用しており、今現在ではこの生地メーカーのみが作っている素材だそうです。
更にはアッパー・ライニング・インソールそれぞれのキャンバスのオンスを変える事で、馴染んだ時のフィット感や雰囲気も考慮している程の拘り様、もちろんシューレースに関してもコットン100%です。
(L)私物5年使用 (R)新品
(L)私物5年使用 (R)新品
写真の私物はどちらもスタッフが5年愛用した私物です。
こうして新品の物と比べてみるとヴィンテージのスニーカーに引けを取らないほど雰囲気が増しています、これもアメリカ製キャンバスならではと言えるでしょう。
インソールには、クッション性の高いドイツ製のラテックスソールを使用。
アウトソールは、『SPERRY TOP-SIDER』同様切り込みの入った、”ANTI SLIP SAFETY SOLE”
おまけに、WAKOUWAが梱包されているボックスは、PARIS、東京、札幌店の内装も務めたバスク人建築家 “ルイス フライレイ アメストイ” のハンドスケッチによるもの。
直接スニーカーの作りに関係するわけではありませんが、こういった部分もまたオリジナリティを感じる所であり、どこか惹き付けられてしまう要素ではないでしょうか。
→【 History Of WAKOUWA vol.1 】はこちら
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